リハビリテーション

回復期リハビリテーション対象疾患とリハビリテーションの内容


急性期病院での治療後、必要に応じて回復期リハビリテーション病院でリハビリテーションを受けることができます。
在宅復帰、社会復帰、御自身の生活を取り戻すことを目標とし、日常生活に必要な動作のリハビリテーション(歩行、食事、排泄、入浴、更衣など)を専門のスタッフがチームで実施。
急性期病院から回復期リハビリテーション病院への転院は、発症から2ヶ月以内とされています。支払いは医療保険対応です。

厚生労働省により、リハビリテーションを受けられる時間は1日最大9単位(3時間/1単位20分)と決められています。
患者様の体調に合わせ、1日の内で数回に分けて行うことも可能です。

対象疾患と入院期間をまとめました。



 

対象疾患入院期間
脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷(わんしんけいそうそんしょう)等の発症後もしくは手術後、または義肢装着訓練を要する状態150日

高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷および頭部外傷を含む多部位外傷の場合

180日
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節もしくは膝関節の骨折、または2 肢以上の多発骨折の発症後、または手術後の状態90日
外科手術または肺炎などの治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後または発症後の状態90日
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節または膝関節の神経、筋または靭帯損傷後の状態60日
股関節または膝関節の置換術後の状態90日
急性心筋梗塞、狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患または手術後の状態90日


回復期リハビリテーション病院では様々な職種のスタッフが関わり、チームで患者様を支えます。快適にリハビリテーションをして頂くため、患者様の安全第一に努めています。
スタッフの役割についてまとめました。

職種役割

医師

患者様の全身状態の観察と治療にあたり、急変時には救急医療へ繋げる

看護師

医師の指示のもと、患者様の観察、医療的処置や心のケアに対応。専門的医療知識とコミュニケーション能力が必要

管理栄養士

医師の指示のもと、栄養バランスのとれた食事メニューの提供と、言語聴覚士と連携し嚥下機能低下された患者様への
対応も行う

薬剤師

医師の指示のもと、内服薬や注射薬を正確に調剤。症状変化に合わせ、医師へ確認しながら調剤を行う

理学療法士

運動能力低下を予防し、「寝返りをうつ」「起き上がる」「座る」「立ち上がる」「歩く」といった基本動作を訓練し、患者様の機能回復と維持に努める。必要に応じて装具選定や装着しての歩行訓練を行う

作業療法士

「更衣」「入浴」「排泄」「食事」といった、日常生活動作の訓練を行う

言語聴覚士

「聞く」「話す」「書く」「飲み込む」といった言葉、聴力、嚥下に関する訓練を行う。管理栄養士と連携し、食材の選定や嚥下評価など、機能回復に努める。

介護福祉士

「食事」「排泄」「更衣」「入浴」など、症状にあわせて日常生活動作の介助を行う。機能回復を目的とするため、必要以上の介助は行わないよう配慮する

医療ソーシャルワーカー

入院中の相談対応や退院後の生活への情報提供や手続きを行う。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員とも連携する


患者様の症状や退院後の生活に備え、様々なリハビリテーションを行います。
ここでは、症状別にリハビリテーションの内容を解説します。


脳血管障害(脳卒中)には「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」があげられます。
その他、「頭部外傷」「脳腫瘍」脳神経内科疾患(重力筋無力症、パーキンソン病、ギランバレー症候群、ALS、髄膜炎など)もリハビリテーション対象です。呼吸器、循環器、意識状態を確認しながら安全第一に実施します。


脳梗塞:脳の血管が詰まる病気(脳血栓症・脳塞栓症・一過性脳虚血発作)

脳出血:高血圧などにより脳内の血管が破れる病気

くも膜下出血:動脈瘤で血管が破れる病気

脳内で血液があふれ、脳組織を傷めたり血液を送ることができず機能不全となります。損傷した脳の部位により様々な症状が現れ、日常生活動作へ支障をきたすことがあります。後遺症が残ることがあるため、早期発見、早期治療、早期リハビリ開始が大切です。


脳血管障害の主な後遺症としては、下記症状があげられます。

手足の麻痺:手足を動かすことができない

失語症:話すことができない、聞き取れない、読めない、書けない

失認:物が見えているが何かわからない、自分と物との位置関係がわからない

失行:「服を着る」「歯を磨く」などの日常生活動作ができなくなる

社会的行動障害:怒りっぽくなったり、暴力行為をしてしまう
我慢できない、こだわりが強くなる

痙縮:筋肉が緊張しすぎて動かしにくくなったり勝手に動いてしまう
肘が曲がる、手指が握ったままになってしまうなど

反側空間無視:視覚的に片側の物が認識できない(認識できない側にぶつかりやすい)

脳疲労:いつも眠い、ぼーっとしている、動きや反応が遅い、ミスが多い、ソワソワする、疲れやすい

高次脳機能障害:注意力、記憶力、言語、感情のコントロールが上手くできなくなり生活に支障をきたす。外見から分かりにくいため、他者とトラブルになることがある

上記症状に対し、主に下記内容のリハビリテーシを実施します。
尚、リハビリテーション総合実施計画書は個別に作成されます。

理学療法

合併症予防:拘縮予防、排痰促進、血栓症予防、褥瘡予防

離床:起き上がり、端座位保持、立ち上がり、立位保持、車椅子移乗、車椅子座位保持

歩行:つたい歩き、歩行器歩行、杖歩行、独歩、階段練習、バランス練習

その他、可動域訓練を行い柔軟な動作を目指します。

作業療法

日常生活動作:「更衣」「トイレ」「整容」「入浴」など、日常生活動作を実際に練習

高次脳機能障害への実施:高次脳機能障害の評価と練習
日常生活動作の練習を繰り返す中で、回復へ繋げる

福祉用具利用指導:「入浴」「更衣」などで必要な福祉用具の選定と指導

言語療法

失語症:発声(呼吸法含む)、発話(日常会話)、復唱、音読、呼称(書かれた物や絵を見て名前を言う)、聴理解(聴いて理解する)
読解、書字、ジェスチャーでの表現練習

構音障害:発声、発話(日常会話)、発話速度の調整

嚥下障害:飲み込みの評価、安全に飲み込むことのできる食品の選定
食事時の姿勢・環境設定の確認
嚥下機能回復時の食材変更評価

高次脳機能障害:会話や日常生活動作の様子を観察し、会話を通じて記憶力や注意力、業遂行機能向上を図る


骨折、変形性膝関節症、腰部脊柱管狭窄症など、病気やけがにより発症した症状へのリハビリテーションを実施します。
筋力向上や可動域拡大など、日常生活動作をスムーズに行えることを目的とします。

理学療法

起き上がり、端座位保持、立ち上がり、車椅子移乗、立位保持、可動域拡大、筋力向上、歩く、走る、階段練習

作業療法

「更衣(ズボンや靴下など)」「入浴」「掃除」「調理」など日常生活動作を練習


廃用症候群とは、長期の安静状態により全身の運動機能や臓器機能が低下し、日常生活への意欲も低下した状態を言います。
全身機能低下に加え、認知症、うつ病、褥瘡など、他の症状発生にも繋がりかねません。
早期リハビリ開始が大切です。廃用症候群の症状をまとめました。

運動機能の障害:関節拘縮、筋萎縮、筋力低下
循環器系の障害:起立性低血圧、血栓症、循環血液量低下、心拍出力低下
消化器系障害:食欲低下、便秘、逆流性食道炎
泌尿器系障害:尿路感染症、尿路結石、排尿障害
皮膚障害:褥瘡
精神の障害:認知症、鬱病、睡眠障害、せん妄


廃用症候群は、全身の機能及び、免疫力も低下しています。
リハビリテーション実施の際は、バイタルを確認し安全第一に行うことが大切です。

理学療法

起き上がり、端座位保持、立ち上がり、車椅子移乗、立位保持、可動域拡大、筋力向上、歩く練習

作業療法

「更衣」「トイレ」「整容」「入浴」など、日常生活動作を中心に体調や耐久性に考慮し実施

言語療法

嚥下評価を基に、誤嚥予防に配慮した内容で実施
栄養士と連携し食材の選定も行う


病気やけがを発症後、在宅復帰や社会復帰という目標を達成するには、早期のリハビリテーション開始が大切です。
急性期病院入院中から、医師、看護師、医療ソーシャルワーカーと相談し、御自身に合った回復期リハビリテーション病院を選択できるよう準備しましょう。インターネットでも様々な情報を得ることができます。リハビリテーション病院の環境やリハビリテーションの内容を確認するためにも、実際に複数の病院を見学されることをおすすめします。




            





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